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犬の特性
今も世界各地に生息する狼と共通の祖先をもつ現在の犬達は、狼と同じようにかっては群れを作って社会生活を営んでいた動物です。当時その群れとそれを統率する頼もしいリーダーの存在が彼らの行動の全てを支えており、そのため常に集団でいたいとか何かに頼って行動したいという欲求が今なお本能としてその遺伝子にしっかりと組み込まれています。
今の彼らにはかってのような犬同士の群れを作って生活することは到底かないませんが、それに代わるものとして大概は飼主である人間やその家族を群れの仲間とみなし、彼らの基準に則ってその関係を維持してゆこうとします。したがって彼らへの接し方次第では飼主を群れのリーダーと認識しそれに従って行動することを何ら厭いません。
その昔、犬にとっては生きてゆくのに必要な食物を充分かつ効率的に確保したり、外敵から確実に身を守るためには仲間同士がお互い協力し合って行動することが不可欠でした。そんな彼らにとっての群れとは、リーダー支配のもとで秩序ある共同作業を可能にする生活集団であり、そこに身を置いている限り自らの生存が保証される運命共同体であったわけです。
そのため群れや群れの仲間との良好な関係を維持することに最大の関心をはらうことが、彼らにとっては生きてゆく上での最重要事項であったわけです。見方によっては一見卑屈に見える行動から、時にはごますり屋と揶揄される犬の本質がそこにあります。
その後、新たに群れの仲間となった人間が犬社会における仲間同士の関係のもち方を理解せず、その接し方を誤ったために彼らの心に大きな混乱を生じさせているとすれば、その当然の結果として問題行動が多く発現するのも頷けることではないでしょうか。
猫の特性
猫は本来社会性を持たず単独生活をする動物です。その野生の時代、縄張りとなるさほど広くない生活圏を確保してそこに生涯定住し、獲物を狩るのも子育てするのもすべてその生活圏の中だけで他者に依存することなく単独でおこなっていました。唯一育児中の母猫と子猫、その子猫同士の間においてのみ期間限定となる一時的な社会性が見られます。
その子孫である現在の猫達も、祖先からのそんな習性を遺伝子の中に受け継いでいます。そのため自分の生活圏を離れて違った環境に身をさらすことは言うに及ばず、今いる環境にちょっとした変化が生じただけでも心が大きく動揺するほど、環境との結びつきやそれへの依存性は非常に強いものがあります。ある意味では犬とその群れの関係とよく似ています。
それに比べると他者との関係は、繁殖期における配偶者との関係や育児期の母子の関係以外は重要ではなく、その点犬とは根本的に異なります。生活圏内でその存在が自らの生存を脅かさなければ相手を容認しますが、特別に関心を払うこともありません。ただし遊び心や好奇心は旺盛で気が向けば寄ってゆくなど、気まぐれ屋と称される猫の本質がそこにあります。
現在の猫達が野生の時代にはあり得ない集団での生活ができるのは、お互い食物の取り合いで生存を脅かされることがない上に、家畜化の過程で生じた幼形成熟的進化によってイエネコの全てが大なり小なりの幼児性を有するようになり、成長後も子猫限定の社会性が消えずに残るため。自立した大人の猫が飼主に甘えるなどの養育誘発行動をとるのもそのためです。
現代社会においては都市化が進んだため、飼い猫の多くが自由な行動が制限されストレスが生じ易い室内だけの生活を余儀なくされています。しかも子猫の時のように終始干渉され続けながら。そんな箱入り娘状態の猫達には僅かな環境の変化も情動行動の強い誘発刺激となり得るため、彼女達のストレスがらみの問題行動は今後は益々増えるかも知れません。
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