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a)の場合は、慣れない環境に長期間拘束されていたために大脳辺縁系に生じた不安や恐怖などによる心理的ストレスが脳幹・脊髄系の視床下部を介して自律神経系に強い緊張状態をもたらした結果、腸管の収縮運動や分泌機能が異常に亢進しそれが便秘や下痢をひき起こしたものです。◯◯ちゃんは、排便を我慢していたわけではなく腸が痙攣して便が出なくなっていたわけです。
過敏性腸症候群とも呼ばれるこの状態は出勤途中の駅のトイレに駆け込むサラリーマンなどに多く見られ、人間の心身症ではごく一般的な消化器系の機能異常です。検査しても腸管にガスが多量に貯留している位で特定の病気は認められません。
このほか極度の心理的ストレスによって出血性胃炎や急性胃潰瘍など、急性の胃粘膜障害が生ずることもあります。
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b)の場合は、心理的ストレスが生じたことにより血液中に大量に放出された副腎皮質ホルモンと呼ばれる物質が、◯◯ちゃんの免疫機能を抑制したために体の抵抗力が低下したのが原因です。
すなわち大脳辺縁系に生じた情動ストレスによって脳幹・脊髄系の視床下部が刺激された結果、内分泌系が作動。最初に視床下部から放出されたホルモンの作用によってその後段階的にホルモン連鎖と呼ばれる様々なホルモンの放出が起こり、そのうちの一つである副腎皮質ホルモンの作用によって免疫機能が抑制されたというわけ。
免疫機能は生体防御に不可欠なものですが、それが情動ストレスによって機能低下したりアンバランスな状態になると今回のケースのように感染症、アレルギー、癌などの発症や病状悪化、進行につながることも。これは人間の場合ですが、試験前の受験生が風邪をひきやすいという事実もやはり同じ理由によるものです。
なお今回のようにワクチンを接種していても外からより強い野生型のウイルスが侵入してくると完全予防はできず、未接種の場合より軽いとはいえ症状が出ることがあります。◯◯ちゃんのように、それにストレスが加わればリスクは一層高まりますのでくれぐれもご注意を!
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c)の場合は、ペットホテルに預けられたことで激しい不安や恐怖にかられた経験が◯◯ちゃんに心の傷を負わせ、それが消化、受容されきらずに情緒障害として残ってしまったケース。いわゆるトラウマです。それ以来ペットホテルで経験したのと同じような刺激が与えられると大脳辺縁系に不安や恐怖の感情が生じ、それが体を執拗に舐めるという情動行動へと駆り立てたのです。
元来猫はきれい好きな動物で、健康な状態であればこまめに自分の舌を使って全身をグルーミングします。それが今回のような情緒不安定な状態になるとその回数や時間が異常に増えることがよくあります。その結果執拗に舐め続けた部分は脱毛し皮膚が赤くただれたり発疹ができるなど、いわゆる心因性皮膚炎とか自傷性皮膚炎と呼ばれる状態にまで進むことも。
これと同じようなケースは犬にも見られます。家人の留守中に自分の足先などを執拗に舐めたり咬んだりし続け、その部分に重度の皮膚炎を起こしたり時には指を離断するはめになるようなケースでは、不安などによる情緒障害が原因となっている場合がよくあります。
いずれの場合も彼等にとっては自分の体を舐め続ける行動が、私は不安を感じていますというサインであると同時に、結果的にそれが不安を解消する手段にもなっています。したがって不安を与えるものが存在し続ける限りその行動も続くということです。
さてもう一方の壁などにおしっこをかけるケースですがこれは自分の縄張りを示すマーキングという本能行動のひとつで、とくに雄猫にはしばしば見られるスプレーと呼ばれる行動でしょう。
しかしこの場合は情緒障害に基づく大脳辺縁系の緊張状態が続いたことにより本能行動の調節機能に乱れが生じ、たまたま縄張り行動のスイッチがオンに入ってしまったために本来の目的とは関係なくその行動が出現したもの。欲求不満が慢性化した場合などにも同じことが起こることがあります。
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d)のケースについては、自分の縄張り内にある日突然ほかの猫が出現し喧嘩が頻発してその生活が脅かされるはめに。そのために大脳辺縁系に生じた心理的ストレスが脳幹・脊髄系の視床下部を介して自律神経系に強い緊張状態をもたらした結果、a)の場合と同様に消化器系の機能異常である食物の吐出や下痢などの情動反応が生じたものです。
このような心理的な機序によって起こる嘔吐は神経性嘔吐と呼ばれますが、とくに神経質な性格の場合には強い情動が生じた時などに反射的に起こることがしばしばあります。
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e)の場合は、これに高血圧を加えたものがストレス状態におけるごく一般的な検査所見になります。すなわち白血球増加、リンパ球減少、高血糖、高コレステロール、高血圧はいずれもストレスが生じた場合に必ずといっていいほどに起こる生体の反応です。
これまで心理的ストレスによる情緒障害が自律神経系や内分泌系さらには免疫系の機能障害や変調、アンバランスなどをひき起こし、それが結果的に様々な臓器や器官の機能異常を招いていると述べてきましたが、ここでのストレス反応もまたそうした結果のひとつと言えます。
それでは異常ははたしてこれだけでとどまるのでしょうか?
もしそこでその動物の体の中に特にもろい臓器とか脆弱な器官などが存在した場合、当初はその機能異常だけであったものがストレスの持続によりいずれはそれらの臓器や器官に本格的な障害がもたらされることになります。
またもしもその動物がすでに何らかの病気に罹患している場合には、自律神経系、内分泌系、免疫系などの機能異常による影響に加え、白血球数増加、リンパ球減少、高血糖、高コレステロール血症、高血圧といった状態もその症状の悪化や進行を促すことになるでしょう。
いずれの場合も心理的な要因によって身体的な病気の発生や症状の悪化が起こり得るということを示しているわけですが、そのようなことになれば今度は当然その病状に伴う新たな異常所見が出現してくるということになるわけです。
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